協力と対決、両にらみ=バイデン氏「有害行動に反撃」―16日に米ロ首脳会談 2021年06月15日

 【ワシントン時事】欧州歴訪中のバイデン米大統領は16日、外遊最後の訪問地ジュネーブで、ロシアのプーチン大統領と就任後初の対面会談に臨む。軍縮や気候変動問題で協力の可能性を模索するが、ロシアによる米国の選挙への介入やサイバー攻撃には厳しく対応すると警告。プーチン氏との親密な関係を誇示したトランプ前大統領とは打って変わり、緊張感を伴う初顔合わせとなる。
 「対立を望むわけではないが、ロシアが有害な行動を続けるなら反撃する」。14日の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議後の記者会見で、バイデン氏は米国などを標的としたサイバー攻撃に言及し、強い姿勢で臨む決意を表明した。
 バイデン政権は3月、ロシア当局が昨年の米大統領選や米政府機関を狙ったサイバー攻撃に関与したと断定し、ロシア外交官の追放など幅広い制裁に踏み切った。米国内最大のパイプライン運営企業などを標的とした最近のサイバー攻撃も、ロシア当局の直接関与は認定しないものの「ロシアに拠点を置く犯罪集団の仕業であり、プーチン政権には対応する責任がある」と主張している。
 一方でバイデン氏は、就任後早い時期に米ロが新戦略兵器削減条約(新START)の5年延長で合意したことも念頭に、軍縮や気候変動対策での協力を視野に入れる。14日の会見では「プーチン氏に対しては、彼が選択すれば協力可能な分野があると明確に伝える」と明言。緊張緩和はロシア側の出方次第という姿勢を示した。
 プーチン氏個人に関しては「賢明でタフ、相手として不足のない対抗者」と評価。プーチン氏は米NBCテレビのインタビューで、バイデン氏を「(公職経験なしで大統領に就いた)トランプ氏とは全く違う『キャリア政治家』」と評した。ともに不用意な個人攻撃で、関係を複雑化させたくないという思いもにじむ。
 ただ、ロシアの反体制派弾圧やウクライナ国境付近での軍備増強など、双方とも譲歩できない課題は多い。プーチン氏が「大きな進展は何ら期待していない」と予想するように、首脳会談は互いの腹を探りつつ、今後の関係構築の成否を占う場となりそうだ。 

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