1隻でサンマもイワシも=不漁対策、「脱専業」提言―水産庁検討会 2021年06月04日

 水産庁の「不漁問題に関する検討会」は4日、漁獲量が近年急減しているサンマ、スルメイカ、サケの不漁対策の方向性を示す報告書をまとめた。漁業経営の維持へ、1隻の漁船で1種類の魚を漁獲する専業的漁業から脱却し、資源量が増えているマイワシなど、複数の魚を狙う操業形態への転換を促すことが対策の柱。水産庁は具体的な支援策を詰める。
 報告書は、3魚種の不漁の要因に地球温暖化の進行などを挙げた。不漁が特に深刻なのはサンマとスルメイカ。2019年の漁獲量は、サンマが約4万6000トン、スルメイカが約4万トンと、いずれも最盛期から9割以上減り、過去最低水準にある。
 水産庁は魚種ごとに漁獲上限を設けて資源管理の徹底を図ってはいる。しかし、報告書は、海洋環境の変化により、「(不漁が)長期に継続する可能性がある」と指摘。サンマとスルメイカでは中国など外国船の乱獲も響き、資源回復の見通しが立っていない。 

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サンマ=2020年10月、東京都江東区の豊洲市場
サンマ=2020年10月、東京都江東区の豊洲市場

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