大戦時の強制収容所利用を批判=米政権の不法移民政策―日系人博物館 2025年08月21日 14時12分

アン・バロウズ 全米日系人博物館館長(同館提供)
アン・バロウズ 全米日系人博物館館長(同館提供)

 【ワシントン時事】トランプ米政権は今週、第2次大戦中に日系人が強制収容された基地内で、不法移民の収容を始めた。これを受け、日系人の歴史を伝えてきた全米日系人博物館(ロサンゼルス)は20日、「受け入れられない」と批判する声明を発表。戦後80年の節目で米国の暗い歴史に再び焦点が当たっている。
 全米日系人博物館のアン・バロウズ館長は時事通信に宛てた声明で「米国が80年前の教訓を無視し、再び強制収容所を建設することは、到底受け入れられない」と非難した。バロウズ氏は米NBCテレビにも同様の声明を送った。
 米メディアによると、トランプ政権は17日、南部テキサス州のフォートブリス陸軍基地内に不法移民の収容施設を設置。同基地は大戦中に「敵性外国人」とされた日系人のほか、ドイツ、イタリア系米国人の強制収容所として使用された。収容者は有刺鉄線に囲まれ、厳しい監視下での生活を強いられたとされる。
 施設は当面約1000人を収容し、最大約5000人まで増やす予定だ。連邦議会は施設設置に約12億ドル(約1800億円)の予算を計上した。
 日系人社会だけでなく、人権団体も反発している。米自由人権協会は「フォートブリスは外国人排斥と人種差別に根差した政策に長年利用されてきた」とし、「今すぐ行動を起こし、これを止めなければならない」と訴えた。
 一方、不法移民の取り締まりを担う国土安全保障省のエドガー副長官は20日、SNSで収容施設に関し、「われわれはトランプ大統領の大規模な強制送還命令を実行するため、革新的な方法を迅速に進めている」と説明した。 

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