ロシア、協議「堂々巡り」画策か=停戦・制裁うやむやで外交勝利 2025年08月19日 19時06分

ロシアのプーチン大統領=15日、米アラスカ州アンカレジ(AFP時事)
ロシアのプーチン大統領=15日、米アラスカ州アンカレジ(AFP時事)

 ロシアのプーチン政権は、ウクライナのゼレンスキー大統領との会談を明確に発表していない。5月に約3年ぶりに再開した両国の直接協議の延長線上との位置付け。トップ同士で一度会っても最終解決する保証はなく、詳細な協議を代表団に戻して「堂々巡り」に陥らせることを画策している可能性もある。
 トランプ米大統領が展開したトップ外交の結果、ウクライナが和平交渉の条件とした即時停戦や、米国がロシアに警告していた追加制裁はうやむやとなった。プーチン大統領の「外交勝利」という印象が強い。
 ゼレンスキー氏によると、交戦当事国による2者会談の形式はプーチン氏がトランプ氏との電話会談で提案した。米欧とウクライナ首脳がホワイトハウスに集まり、トランプ氏が仲介する3者会談の実現を模索していたところ、プーチン氏が軌道修正させた格好だ。
 もともとプーチン政権は、ウクライナとの首脳会談について、直接協議で両国代表団が「一定の合意を得た結果として行うなら可能だ」(ペスコフ大統領報道官)と条件を付け、早期実施に否定的だった。最近も3カ国首脳会談は「議題としてまだ取り上げられていない」(ウシャコフ大統領補佐官)と時期尚早という認識を示していた。
 「米国外し」の2者会談では、成果を急ぐトランプ氏がゼレンスキー氏に合意を迫る場面はなくなるが、プーチン氏にとっては「孤立無援」の相手をやり込める好機になり得る。ゼレンスキー氏は5月の直接協議に際して「トルコでプーチン氏を待つ」などと挑発してきた以上、首脳会談を拒む理由はない。
 ウクライナの領土問題や「安全の保証」を巡って難問だらけの中、トップ交渉で突破口を見いだせなければ、再び直接協議に戻ってやみくもに時間が過ぎ、戦闘が一層長引くことになりかねない。ウシャコフ氏は、電話会談した米ロ首脳が「代表団による直接協議の継続に支持を表明した」と述べ、2者会談はその格上げにすぎないと示唆している。 

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