ガザ市制圧で閣議紛糾=人質か強硬策か、激論10時間―イスラエル 2025年08月09日 17時10分

イスラエルのネタニヤフ首相=7月27日、エルサレム(ロイター時事)
イスラエルのネタニヤフ首相=7月27日、エルサレム(ロイター時事)

 【カイロ時事】イスラエルのネタニヤフ政権が、パレスチナ自治区ガザの主要都市ガザ市の制圧方針を決めた。実行に移せば、イスラム組織ハマスに拘束されている人質に危険が及ぶ可能性が高く、強硬策を取るかどうかで治安閣議は紛糾した。イスラエルのメディアが内幕を伝えた。
 治安閣議は7日夜から8日未明にかけて約10時間続いた。ハマスとの停戦交渉が停滞する中、政権はネタニヤフ首相が推すガザ市制圧案を含め、複数の案を検討した。
 首相側近のハネグビ国家安全保障顧問は、直前まで交渉してきた人質解放を含む停戦案の実現を優先すべきだと訴えた。人質に被害が出る可能性に触れ、「救出を諦めない」と首相案に反対。ザミール軍参謀総長と対外情報機関モサドのバルネア長官も同案に反対した。
 一方、連立政権の命運を握り、ガザの占領や入植を主張する極右政党のスモトリッチ財務相とベングビール国家治安相は侵攻継続を支持。スモトリッチ氏は「(侵攻を)途中でやめてはいけない。(ハマスとの)一時的合意は敗北だ」と強調した。極右政党のストローク入植・国家特命相は休憩中、「軍の使命」に人質解放を盛り込むべきだと発言した人質問題担当者に「使命はハマス撲滅だ」と叫んだ。
 閣議では最終的に、「ハマスを打ち負かすための首相案」が承認された。ハマスが停戦条件で大幅に譲歩しなければ、ネタニヤフ氏が志向しているとされる「ガザ全域占領」へ段階的に作戦を拡大するとみられている。国際社会からは批判が噴出しているが、ネタニヤフ氏は8日、「ガザを占領しない。ハマスから解放するのだ」とX(旧ツイッター)で主張した。 

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