15%上乗せ、口約束のツケ=日本に「特例」なく―米相互関税 2025年08月07日 17時44分

【ワシントン時事】米政権が日本に対し15%の相互関税を発動した。大統領令は、日本に15%を上乗せすると明記しただけで、日本が合意したとする相互関税の「特例」は反映されなかった。合意を急ぎ、妥結内容を文書として作成しなかった日本が想定しなかった15%の上乗せとなり、詰めの甘さを露呈した。
日本政府の説明では、相互関税は、元の税率が15%以上の品目には課されない一方、下回る品目にのみ15%が適用される。この特例を米国に最初に認めさせたのが日本で、欧州連合(EU)も追随した。
ただ、先月末の大統領令では、EUについてのみ特例を明記。日本は「15%を追加」との表記しか盛り込まれなかった。米政府高官は6日、取材に「既存の税率に上乗せされる」と明かし、追加関税だと説明した。
日本は関税引き下げのため早期の妥結を優先し、合意文書の作成は見送った。だが、合意が明文化されていない分、自国に有利な解釈をしがちな米国が「付け入る」隙も生じた。
多くの貿易相手国・地域と交渉を進めている米国は、個別に文書を作る余裕がなかったともみられ、合意内容を記した大統領令に個別に署名したのは、1例目の英国だけだ。
赤沢亮正経済再生担当相は「合意した時点やその前後も含め、米側の閣僚から聞いている説明と違う内容になっている」と指摘。今回の訪米で認識のずれを埋める考えだ。
米政権は250%の医薬品関税に加え、100%の半導体関税も準備。日本政府はこれらの新たな関税は他国に劣らず、15%のままになると説明するが、相互関税同様、食い違いによって再び「口約束のツケ」を払うリスクも排除できない。