「出禁の女」、人事に影響力=インフルエンサーのルーマー氏―米 2025年08月07日 14時35分

【ワシントン時事】トランプ米大統領を熱烈に支持する極右インフルエンサー、ローラ・ルーマー氏の言動が注目を集めている。ルーマー氏がやり玉に挙げた複数の米政府幹部が相次いで更迭されるなどしたため、公職に就いていない「活動家」の同氏が人事を左右するトランプ政権の現状を懸念する声が上がっている。
7月下旬以降には、国家安全保障局(NSA)の法律顧問が更迭され、食品医薬品局(FDA)幹部が辞任、さらに陸軍士官学校の教員人事が撤回された。いずれもルーマー氏がSNSなどで幹部らを批判した直後の出来事だった。
ルーマー氏はインターネット上で反イスラムなどの主張を展開してきた。2024年の大統領選でトランプ氏と共和党候補の指名を争ったデサンティス・フロリダ州知事を攻撃したことをきっかけに、トランプ氏と急速に接近したとされる。過激な発言から一時各種SNSへの投稿を禁じられ、「世界で最も発言を封じられた女」を自称する。
トランプ氏の周囲が否定的であったために政権入りはできなかったが、ABCニュースによれば、ルーマー氏の圧力の結果として公職から締め出された関係者は今年1月の政権発足以来、少なくとも15人に上る。
ルーマー氏はホワイトハウスにも頻繁に出入りしており、米メディアによると、7月の人事上の「異変」直前にも大統領執務室でトランプ氏と会談していた。X(旧ツイッター)だけで170万人超のフォロワーを擁するルーマー氏の見解はトランプ氏の支持層の共感を集め、同氏や政権高官の耳目を引き付けているというのが実態だ。
政治専門紙ポリティコは、政府外の人間が影響力を振るう「危険な状況」が生じていると警鐘を鳴らす元政府関係者の声を織り交ぜ、ルーマー氏の役割を批判的に紹介。しかしトランプ氏は「愛国者」とルーマー氏を持ち上げ、同氏も「多くの首を取った」と「成果」を誇示してはばからない。