学歴詐称疑惑で辞任相次ぐ=有力政治家ら―スペイン 2025年08月07日 14時24分

【パリ時事】スペインで有力政治家らの学歴詐称疑惑が次々と明るみに出ている。7月下旬以降、少なくとも3人が辞任。連日の猛暑の中、地元メディアによる追及・監視も過熱気味だ。
最初に注目を浴びたのは、中道右派野党・国民党のノエリア・ヌニェス下院議員(33)。大学で法学や行政法学を修めたと称していたが、議会など複数のサイトに掲載された経歴に食い違いが見つかった。問い詰められると、どの学位も取得していないと明かした。
SNSを駆使して頭角を現したヌニェス氏は投稿で「だますつもりはなかった」と弁解。しかし批判が収まらず、問題発覚の2日後の7月23日に「謝罪では不十分」と、議員辞職と党副幹事長職の辞任を発表した。
醜聞は中道左派与党・社会労働党に飛び火。学歴を偽った疑惑が報じられた同党のベテラン政治家は7月31日、昨秋に記録的な洪水被害を受けた東部バレンシア自治州などの復興を担う職から退くことを余儀なくされた。
南西部のエストレマドゥーラ自治州政府では、森林管理・農村相が今月1日に辞任。州政府サイトに「1993年にマーケティングの学士号(を取得)」と明記していたが、当時のスペインに存在しない学位だった。これも報道で判明した。
歴史家でコラムニストのホアキン・コル氏は新聞への寄稿で、スペインでは学歴に執着する「肩書依存症」がまん延していると指摘。「肩書が能力を表すという考えをやめ、実力で政治家を評価する」よう訴えた。