ロシア指揮者の公演中止=プーチン氏と親交、反対論強く―イタリア 2025年07月22日 06時53分

ロシア人指揮者ワレリー・ゲルギエフ氏の公演中止を求めるデモの参加者=19日、イタリア北部ミラノ(AFP時事)
ロシア人指揮者ワレリー・ゲルギエフ氏の公演中止を求めるデモの参加者=19日、イタリア北部ミラノ(AFP時事)

 イタリアのANSA通信は21日、同国南部でロシアを代表する世界的指揮者ワレリー・ゲルギエフ氏(72)が27日に出演する予定だったコンサートが中止されたと伝えた。プーチン大統領と親交があることで知られるゲルギエフ氏はロシアのウクライナ侵攻開始後、西側諸国の音楽界から締め出され、今回が「侵攻後初の欧州公演」(ロシアのメディア)になると注目されていた。
 会場はナポリ郊外のカゼルタ宮殿で、地元オーケストラと協演が計画されていた。しかし、開催を巡って反対論が強く、プーチン政権を批判して2024年に獄死した反体制派指導者の故アレクセイ・ナワリヌイ氏の陣営などが「公演阻止」の反対運動を展開していた。
 ロシアによる侵攻に反発する在外ウクライナ人らが最前列のチケットを買い占め、ゲルギエフ氏の目の前での「抗議デモ」を計画していたという情報もある。
 地元当局が企画したコンサートについて、ジュリ伊文化相は「芸術は自由で検閲されるべきではない」と前置きしつつ、プロパガンダを容認してはならないという認識を示した。在イタリア・ロシア大使館は「両国民の間に確執を生じさせようと躍起になっている破壊勢力がいる」と反発していた。
 タス通信によると、ゲルギエフ氏は中止について「情報を持っていない」と話している。同氏は侵攻開始後、ドイツのミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者から解任され、モスクワのボリショイ劇場の総支配人に就任した。 

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