ダライ・ラマ、後継選定で「輪廻転生」踏襲=中国と緊張高まりも、90歳前に声明 2025年07月02日 13時44分

【ニューデリー時事】チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世(89)は2日、後継問題に関するビデオ声明を発表した。その中で、自らの死後に生まれ変わりを探す「輪廻(りんね)転生」に基づく後継者選定制度の継続を確約した。
これまで中国による介入を懸念し、後継者の選定方法について明言を避けてきた。息のかかった独自の後継者を選び、チベット支配を確立したい中国政府との間で緊張の高まりが予想される。
ダライ・ラマは声明で、チベットの指導者や中国本土を含むアジアの仏教徒らから制度存続を求める書簡が届いたと理由を説明。自らが設立した財団が「転生者」(生まれ変わり)を認定する唯一の権限を有しているとして、中国を念頭に「他のいかなる者も介入する権限はない」と強調した。
声明は、亡命先のインド北部ダラムサラで2日に始まった宗教会議に合わせ発出。後継者選定に関わる財団幹部は公表後の記者会見で「ダライ・ラマの健康状態は良好で、選定プロセスを進めよという指示は受けていない」と述べた。同席した亡命政府のペンパ・ツェリン首相は、ダライ・ラマの将来的なチベット訪問は「中国政府次第だ」と語った。会議は4日まで開かれる。