交戦沈静化も緊張続く=イスラエル・イラン停戦1週間 2025年06月30日 14時05分

【イスタンブール、カイロ時事】イスラエルとイランの停戦発効から約1週間。イスラエルによるイラン核施設への先制攻撃を機に激化した交戦は沈静化し、停戦はおおむね維持されている。しかし、イスラエルは「対イラン作戦は終わっていない」(ザミール軍参謀総長)と主張し、米国もイランがウラン濃縮計画を断念しなければ再攻撃するとけん制。イランも譲らず、戦闘はいつ再燃してもおかしくない緊張が続く。
イランでは核・ミサイル施設のほか、政府・軍の拠点やエネルギー施設も攻撃にさらされた。防空網も深刻な打撃を受け、軍事的に著しく弱体化したとみられる。
それでも、最高指導者ハメネイ師は「勝利」を宣言。ムサビ軍参謀総長も28日、「敵が停戦を順守するか疑っている。侵略が続けば断固対抗する用意だ」と表明した。強気の発言には、威信や求心力が揺らぐイスラム体制の引き締めを図る思惑が透ける。
トランプ米大統領は米軍の空爆がイラン核施設を破壊し、戦闘を終結させたと主張。米国が求めるウラン濃縮完全停止を実現する好機と見て、対イラン交渉再開に意欲を示す。だが、イラン側は表向き渋っており、実現のめどは立たない。
一方、イスラエルは「核と弾道ミサイルの脅威を排除した」(ネタニヤフ首相)と戦果を誇示している。イスラエル軍によると、12日間でイランの標的900カ所以上を空爆し、軍高官ら少なくとも30人と核科学者11人を殺害。ミサイル製造拠点35カ所以上、イランが所有するミサイル発射装置の半数近い約200基を破壊した。
停戦後も好戦的な姿勢は変わらず、カッツ国防相は27日、今後の対イラン計画策定を軍に命じたと発表した。イスラエルが掌握したとするイランの制空権の維持や核・ミサイル開発の阻止、イランの「テロ活動支援」への対応が含まれる。
カッツ氏は「脅威阻止へ常に行動する」と警告。「免責は終わった」として、イランの体制転換も視野に、ハメネイ師殺害を排除しない構えを見せている。
イランメディアによれば、司法府報道官は30日、交戦に伴う死者が子供30人以上を含む935人に達したと明らかにした。イスラエル側では28人が死亡した。