トランプ氏に「毒まんじゅう」=田中浩一郎慶応大教授―イラン・識者談話 2025年06月22日 19時34分

田中浩一郎・慶応大教授(イラン政治)の話 イスラエルは、単独では破壊できないイラン中部フォルドゥの地下にあるウラン濃縮施設を米国に攻撃させた。トランプ米大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相に、フォルドゥ核施設への打撃は米国にとっても大きな戦果になると説得され、実際は中東の米権益に被害が広がりかねない「毒まんじゅう」を食わされた形だ。
イスラエルの対イラン先制攻撃で、イスラエルがイラン全土で制空権を奪い、イランの防空システムは機能しなくなっている。迎撃リスクが最小限となったことも、米国の参戦がこのタイミングになった理由と考えられる。
トランプ氏の狙いは、イランのウラン濃縮能力の徹底破壊を通じて、核兵器開発の可能性を完全に排除することだ。体制転換を直接狙ったものではないが、体制の基盤に影響がないとは言い切れず、転換の入り口に立ったとは言えるのではないか。
イランは、中東地域の米軍基地を射程範囲とする短距離弾道ミサイルを持っている。ただ、多くは液体燃料が使われており、発射準備に時間がかかる。どこまで成功するか疑問だ。また、米国とイスラエルによる警戒態勢の中で直ちに反撃するのは難しい。一方、ペルシャ湾を航行する米国に関係する船舶へのドローンによる妨害などに出ることは大いにあり得る。