米英貿易協定が発効へ=輸入車に低関税枠―首脳会談で署名 2025年06月17日 06時43分

16日、カナダ西部カナナスキスで、貿易協定関連文書を記者団に見せるトランプ米大統領(左)とスターマー英首相(AFP時事)
16日、カナダ西部カナナスキスで、貿易協定関連文書を記者団に見せるトランプ米大統領(左)とスターマー英首相(AFP時事)

 【カナナスキス時事】トランプ米大統領とスターマー英首相は16日、カナダで会談し、トランプ政権の高関税措置を巡る貿易協定の文書に正式に署名した。米国は英国から輸入する自動車に一定の低関税枠を設定。鉄鋼・アルミニウム関税にも輸入枠を設ける方向だ。米国が貿易相手国・地域と進める関税交渉で、合意が発効するのは初めて。
 トランプ氏は米英貿易協定の実施を命じる大統領令を公表した。それによると、米国は英国車の輸入関税について、年10万台を上限に27.5%から10%に引き下げる。米政府が官報に掲載してから7日後に発効する。英国製の鉄鋼・アルミ、派生製品に対しては、一定の輸入量まで追加関税がかからない割当枠を条件付きで設ける予定。輸入枠を超過した分には関税を上乗せする。
 一方、英国はトランプ関税の削減と引き換えに、米国産の牛肉や農産物、エタノールの輸入を拡大。これら市場開放の規模は数十億ドル(数千億円)に達する。大統領令によると、国家安全保障を脅かす多くの非関税障壁を削減・撤廃することで一致した。
 両国は特定の航空宇宙製品の貿易取引を無関税で行うことも協定に盛り込んだ。
 米英貿易協定について、トランプ氏は記者団に「双方に公平なディール(取引)で、多くの雇用と所得を生み出すものだ」と強調。スターマー氏は「両国にとって非常に重要な取引だ」と語った。
 両国は5月に貿易交渉で合意し、詳細を数週間で詰めるとしていた。
 また、トランプ氏はこの日、カナダのカーニー首相とも会談し、貿易交渉について「合意可能だ」との見通しを示した。また、「カーニー氏の案は複雑だが、非常に良い」と述べた。詳細には触れなかった。両首脳は、30日以内に合意に向けた交渉を進めることで一致した。 

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