イスラエルが核施設空爆=イランもドローンで反撃―軍事衝突激化の恐れ 2025年06月13日 14時26分

13日、イランの首都テヘラン中心部で、イスラエルの攻撃により被害を受けた建物(EPA時事)
13日、イランの首都テヘラン中心部で、イスラエルの攻撃により被害を受けた建物(EPA時事)

 【カイロ、イスタンブール時事】イスラエル軍は13日未明(日本時間同日朝)、イラン中部ナタンズのウラン濃縮施設や各地の軍事目標に空爆を加えた。ネタニヤフ首相は「大成功だ」と成果を誇示した。核開発の主要拠点が標的となり、軍トップも殺害されるなど打撃を受けたイランは報復としてイスラエルに向けて100機以上のドローンを発射したが、イスラエル軍が迎撃した。今後、軍事衝突が激化する恐れもあり、中東地域が一層不安定化する。
 イスラエルによるイラン空爆は、最近では昨年4月と10月に続き3回目。軍によると、未明の攻撃では、空軍機約200機が作戦に参加し、約100カ所の目標に空爆を加えた。核施設のほかに、防空レーダーやミサイル発射装置、イランが昨年10月来、急ピッチで製造を進めてきたとされる弾道ミサイル関連の施設も標的にした。軍はその後もイラン西部などへ断続的に攻撃を続けているもようだ。
 イランでは、バゲリ軍参謀総長や精鋭軍事組織「革命防衛隊」トップのサラミ司令官ら要人が多数死亡。核科学者6人も殺害され、イランのメディアによれば、首都があるテヘラン州だけで78人が死亡した。中部イスファハンとフォルドゥの核施設には影響は出ていないものの、ナタンズの施設には甚大な被害が出たという。原子力庁報道官は「汚染が内部で起きたが、外部には影響がない」と語った。
 ネタニヤフ氏は、イランが核開発をかつてないほど前進させ「イスラエルの存続にとって明確で差し迫った脅威だ」と主張し、攻撃を正当化した。今回の攻撃は第1段階との位置付けで、同氏は「脅威を取り除くのに必要な日数だけ作戦は継続する」と強調。長期的な軍事作戦を視野に入れている可能性もある。
 一方、イランの最高指導者ハメネイ師は「邪悪で血塗られた手による犯罪だ」とイスラエルを糾弾し、「厳しい処罰を覚悟せねばならない」と警告した。イラン軍報道官はイスラエルの後ろ盾である米国も「大きな代償を払う」と語った。ハメネイ師は、軍参謀総長らの後任を指名した。
 米国は核兵器保有阻止に向け、イランと協議を進めてきた。トランプ米大統領は13日朝、自身のSNSで「イランには何度も取引の機会を与えたが、彼らは実現できなかった」と強調。「手遅れになる前に行動すべきだ」と述べ、イランに核合意に応じるよう迫った。
 AFP通信によると、国連安保理は13日、イスラエルによるイラン空爆を受けて緊急会合を開催する。 

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イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」トップのサラミ司令官=2023年8月、テヘラン(ロイター時事)
イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」トップのサラミ司令官=2023年8月、テヘラン(ロイター時事)

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