支援物資、いまだ届けられず=国連「ハードル多い」―ガザ 2025年05月21日 08時15分

20日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ境界のケレム・シャローム検問所で、支援物資を積んだトラック(イスラエル政府提供)(ロイター時事)
20日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ境界のケレム・シャローム検問所で、支援物資を積んだトラック(イスラエル政府提供)(ロイター時事)

 【カイロ時事】国連のドゥジャリク事務総長報道官は20日の記者会見で、19日に再開したパレスチナ自治区ガザへの支援物資搬入に関し、イスラエル軍との複雑な調整が必要で、検問所からガザの配給拠点まで、物資を届けられていないと明かした。食料不足に苦しむ住民に支援を行き渡らせるには「越えるべき多くのハードルがある」と語った。
 物資は検問所の荷積みスペースにとどまっており、トラックへの積載作業やガザ内の移動などでイスラエル軍からの許可が必要という。ドゥジャリク氏は「あるチームは、栄養補給品を受け取るため何時間も待った。だが、倉庫まで運ぶことができなかった」と述べた。
 イスラエル当局の発表によれば、小麦粉や医薬品などの支援物資を積んだトラック93台が20日、ガザに入り、前日の5台から大幅に拡大。しかし、ドゥジャリク氏は、実際の台数は発表より少ないとの見方を示した。
 一方、イスラエル首相府は20日、ガザの停戦を巡るイスラム組織ハマスとの交渉で、仲介国カタールに派遣していた代表団のうち、実務者を残して主要な幹部メンバーが帰国すると発表した。その上で、米国のウィトコフ中東担当特使が提示した停戦案にイスラエルは同意したが、ハマスが拒否し続けていると主張した。
 これに対しハマスは20日の声明で、イスラエルが協議に後ろ向きで、17日以降「真の交渉は行われていない」と非難。代表団をカタールに置き、「交渉しているかのように装い、世界の世論を欺こうとしている」と訴えた。
 パレスチナ通信は20日、ガザ各地で民家や避難テントへのイスラエル軍の攻撃が相次ぎ、少なくとも70人以上が死亡したと報じた。 

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