新教皇、「移民の尊厳」強調=トランプ氏といずれ衝突か 2025年05月18日 15時55分

18日、バチカン市で行われた就任式典で、枢機卿から「パリウム」を首にかけてもらうローマ教皇レオ14世(AFP時事)
18日、バチカン市で行われた就任式典で、枢機卿から「パリウム」を首にかけてもらうローマ教皇レオ14世(AFP時事)

 【パリ時事】新ローマ教皇レオ14世が選出されてから18日で10日。この間、「移民の尊厳」を守る必要性を強調するなど、フランシスコ前教皇が敷いた「弱者に寄り添う路線」の継承を鮮明にしてきた。前教皇は、不法移民の強制送還を掲げるトランプ米大統領とたびたび対立。米国出身のレオ14世も、いずれ「トランプ政権と衝突する可能性がある」(ロイター通信)とみられている。
 「平和、正義、真実」。レオ14世は16日、バチカン市で各国外交官と会見し、「教皇外交」の目的を三つの言葉で表現した。
 新教皇が信徒に向けて8日に発した第一声は「皆さんに平和があらんことを」だった。11日には、ウクライナ和平とパレスチナ自治区ガザでの停戦を呼び掛け。さらに14日、教皇として世界平和の実現に「全力を尽くす」とも表明した。
 「正義」を巡っては、16日の会見で「深刻な分断を生む世界的な貧富格差の不平等を克服する」よう求めた。自らを「移民の子孫であり、外国への移住を選択した」と紹介。人間は住む場所が故郷でも外国でも「尊厳に変わりはない」と訴えた。
 その上で、移民ら弱者の尊厳を傷つけない努力は「何人(なんぴと)も免じられない」と指摘。「真実」のためなら、「歯に衣(きぬ)着せぬ言葉で人間と世界について語る」用意があると述べ、トランプ政権との対決も辞さない構えと受け止められた。
 フランシスコ前教皇は生前の今年2月、トランプ政権の不法移民対策が「重大な危機」を招いていると非難。「移民を差別し、不必要な苦しみをもたらす主張に屈しない」よう求めた。レオ14世は前教皇のこうした警鐘を意識し、発言しているとみられる。 

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