メルツ氏、首相に選出されず=与党内の不満顕在化―政権発足に不透明感・独 2025年05月06日 17時29分

【ベルリン時事】ドイツ連邦議会(下院)は6日、首相指名選挙を実施した。首相就任を確実視されていた保守政党キリスト教民主同盟(CDU)のフリードリヒ・メルツ党首(69)は、選出に必要な過半数の賛成を得られなかった。新政権発足に不透明感が出ている。
首相指名選挙が否決に終わったのは戦後ドイツ史上初めてで、議会は一時休会した。2度目の投票は2週間以内に実施されるが、独メディアは、6日中の再投票はない見通しだと伝えた。当面は同日退任予定だったショルツ現首相が続投する。
CDUと姉妹政党キリスト教社会同盟(CSU)の保守連合と、中道左派の社会民主党(SPD)は5日に連立協定を締結し、議会多数派を形成。ただ、両陣営内にメルツ氏に対する不満がくすぶっており、重大局面で顕在化した。独誌シュピーゲルは、メルツ氏は「歴史的敗北」を喫したと報じた。
首相選出には316票以上の賛成が必要。保守連合と社民を合計した票は328票だが、匿名で行われた投票で賛成は310票にとどまった。反対は307票、棄権・無効は4票で、9人が投票しなかった。2週間以内に行われる投票でも決まらなければ、過半数ではなく単純多数に選出のハードルが下がる。