「対トランプ」迷走=主戦論の急進左派に勢い―米民主 2025年04月30日 14時46分

オカシオコルテス米下院議員(左)とサンダース上院議員=12日、西部ロサンゼルス(AFP時事)
オカシオコルテス米下院議員(左)とサンダース上院議員=12日、西部ロサンゼルス(AFP時事)

 【ワシントン時事】トランプ米大統領が強硬な政権運営を続ける中、上下両院で少数派の野党民主党は対抗戦略を描けず、攻めあぐねている。党の迷走に支持層はいら立ち、トランプ氏への徹底抗戦を要求。「主戦論」を唱える急進左派が勢いづいている。しかし、左傾化で支持を拡大できる保証はなく、党を立て直す道筋は見えていない。
 昨年、大統領選と上下両院選で敗北した民主党。ピュー・リサーチ・センターが4月に実施した世論調査で、同党の支持率は38%と共和党の43%に後れを取った。諸外国への高関税や強引な連邦職員の解雇など、トランプ氏の政策に批判は多いが、「敵失」を党勢回復に反映できずにいる。
 つなぎ予算案を巡る3月の与野党攻防では、上院民主党の一部が政府閉鎖を避けるため、共和党案に賛成した。「存在感がない。戦う姿勢を示してほしい」(バージニア州の女性教師)と、支持層に不満が募る。
 こうした中で注目を集めるのが、トランプ政権への抗議運動を積極的に展開するアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員(35)ら急進左派だ。「強欲と腐敗がこの国を乗っ取ろうとしている」。民主党系無所属のバーニー・サンダース上院議員(83)と共に、各地で「寡頭政治と闘う」と題した遊説を行い、1万人を超える聴衆を集めている。
 一方、左派が主導権を握ることには警戒もある。2人はサンダース氏が立候補した2020年大統領選でもタッグを組んだが、同氏は党予備選で国民皆保険など実現困難な政策を掲げ、中道派のバイデン前大統領に敗れた。民主、共和の支持が伯仲するミシガン州のスロトキン上院議員は「(左派の主張は)激戦州で通じない」と2人に距離を置く。
 党全国委員会は4月末、各州支部に割り当てる月々の活動資金を計100万ドル(約1億4200万円)へ「大幅に引き上げる」と発表。党の方向性が定まらないまま、当面は支持基盤の強化を優先させる方針だ。 

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