先住民敬う儀式は「過剰」=豪野党党首、選挙戦終盤に物議 2025年04月29日 15時36分
【シドニー時事】オーストラリアの野党・保守連合を率いるダットン自由党党首が、先住民を敬う儀式について「過剰に行われている」と発言し、物議を醸している。下院総選挙(5月3日投票)の選挙戦終盤で同連合の支持率が伸び悩む中、支持基盤の保守層にアピールする狙いがあるとみられるが、社会の多様性に後ろ向きな姿勢として反発を招く可能性もある。
豪州の各種行事の冒頭では、先住民に敬意を表する言葉を述べたり、先住民が清めの煙をたいたりする儀式が催されるのが慣例だ。ダットン氏は27日の討論会で、こうした儀式が多過ぎて「安っぽくなっている」と指摘。国会の開会式など格式のある行事での実施にとどめ、スポーツの試合などでは必要ないとの考えを示した。
保守連合は2023年、労働党政権が目指した先住民の地位確立のための憲法改正案に反対し、国民投票での否決に導いた。このためダットン氏は「政権は物価対策をおろそかにして国民投票に巨額の費用を投じた」と非難している。
一方、アルバニージー首相は「敬意の問題だ」と先住民儀式の意義を認め、各行事の主催者に実施の判断を委ねる姿勢を示した。先住民を擁護する団体などからは「ダットン氏は文化戦争を仕掛けている」との批判が出ている。