米景気、後退せず鈍化へ=関税影響も堅調を維持―みずほエコノミスト・トランプ政権100日 2025年04月28日 14時29分

【ニューヨーク時事】米国みずほ証券のチーフエコノミスト、スティーブン・リチュート氏は28日までにインタビューに応じ、米経済の見通しについて「景気後退ではなく、成長の鈍化を予想している」と述べた。トランプ米大統領の高関税政策の影響を受けながらも、家計や企業の財務状況は健全で、金融システム全体に広がるような信用リスクは見られないと強調した。
リチュート氏は、米政権による各国・地域への関税は交渉を通じて引き下げられると想定。平均で一律10%相当の関税賦課が続けば、2025年の米国内総生産(GDP)成長率は従来予想の2.3%から1.7%に下押しされるとの認識を示した。
その上で、関税率は10%未満まで引き下げられる可能性が高いと説明。「人々は関税の影響を過大評価するリスクがある」と指摘した。
同氏はまた、米政権が中国を封じ込めるため、安全保障の重点を欧州からアジアに移してきていることを踏まえ、「日本のような国には(関税の)免除措置が設けられるだろう」と分析。欧州も免除を受けられるかどうかは「交渉次第だ」と語った。
金融市場では、政権の目まぐるしい動きを背景に先行き不透明感が広がり、米国の株や国債を手放す「米国売り」が進む。発足から間もなく100日を迎えるトランプ政権の状況についてリチュート氏は、関税の他にも減税や規制緩和など「大統領2期分の仕事を1期でやろうとしている」と表現。今後4年間、政策展開の影響で市場の動揺が続く恐れがあると警鐘を鳴らした。