米イラン、核問題で溝深く=12日高官協議、難航か 2025年04月11日 15時31分

【イスタンブール時事】米国とイランが12日、中東のオマーンで高官協議を行う。トランプ米大統領は第2次政権発足後初めてのイランとの協議で、核開発問題の解決への突破口を探る考え。ただ、1979年のイラン・イスラム革命以降、長年敵対する両国の溝は深く、難航は必至。緊張緩和に向かうかは不透明だ。
◇軍事衝突望まず
「重要なのは形式ではなく協議の実効性だ。相手が誠意を示せば合意は達成可能だ」。イランの交渉団を率いるアラグチ外相は協議を前に、経済制裁解除などを念頭に米国の歩み寄りを促した。
今回の交渉について、イランへの「最大限の圧力」政策を掲げるトランプ氏は「直接協議」と強調する一方、イランは仲介役オマーンを通じた「間接協議」と主張している。イランはこれまで「最大限の圧力と軍事的脅迫の下では直接交渉はしない」(アラグチ氏)とくぎを刺してきた。
イランの最高指導者ハメネイ師は、第1次政権期の2018年にイラン核合意から一方的に離脱したトランプ氏に「署名された合意を破棄した人物だ」と不信感を募らせている。それでも協議に応じた背景には、体制存続のため、軍事攻撃を排除せずに威圧を強めるトランプ政権との本格衝突を回避したい本音が透ける。
◇駆け引き激化も
トランプ氏はイラン核合意を「破滅的な取り決め」と酷評してきた。核武装阻止に向け、よりイランに厳しい内容を突き付ける公算が大きい。
イランは米国の合意離脱後、高濃縮ウランの製造を加速。「平和利用が目的」と説明しつつも、兵器級に近い濃縮度最大60%のウラン保有量は大幅に増えており、今後の協議でも米との駆け引きを強めるとみられる。
米ニュースサイト「アクシオス」は10日、イランが米国による圧力停止と引き換えに、ウラン濃縮活動の一部停止を含む暫定合意の提案を検討していると報じた。だが、トランプ氏が応じるかは見通せない。
イランは昨年、イスラエルの2度にわたる直接攻撃によって軍事面で打撃を受けた。イスラエルのネタニヤフ首相は、イラン核施設の破壊の必要性を公言している。イランにとっては抑止力の強化が課題で、シンクタンク「国際危機グループ」のイラン専門家アリ・バエズ氏は「イランが核計画の縮小に応じる可能性はあるが、完全廃棄はあり得ない」と指摘している。