「和平推進」主張にほころび=ロシア軍参加の兵士拘束―中国 2025年04月09日 17時18分

【北京時事】ロシア軍に参加した中国人2人がウクライナの戦地で拘束されたことで、習近平政権が主張する「和平の推進役」としての立場にほころびが出てきた。2人は義勇兵として参戦していた可能性があり、中国政府としては関与を否定する構えだ。ただ、かねて「ロシア寄り」の姿勢が目立っていた中国の国際的なイメージ低下は必至で、習政権が急ぐ欧州との関係改善の動きにも冷や水を浴びせかねない。
中国外務省の林剣副報道局長は9日の記者会見で「ウクライナ側に状況を確認中だ」と述べた上で「中国政府は一貫して、どちら側の軍事行動にも参加しないよう自国民に呼び掛けてきた」と強調。「危機の政治的解決」を目指す従来の公式見解を繰り返した。中国の官製メディアは2人の拘束について報じておらず、情報統制が敷かれているもようだ。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻後、中国は表向き「中立」姿勢を主張。しかし実態は、対米共闘の観点からロシアに肩入れし、同国からの資源購入や軍民両用品の対ロ輸出によってプーチン政権を下支えしてきた。
一方で、習政権は早期停戦を目指すトランプ米政権とロシアの接近を警戒し、自らも和平交渉への関与を狙っている。停戦後の平和維持部隊の派遣に参加する意向だとも報じられているが、今回の件でウクライナ側の対中不信はさらに高まりそうだ。
習国家主席は来月、旧ソ連による対ドイツ戦勝記念日に合わせてロシアを訪問し、両国の結束を再確認する見通し。9月には、中国の抗日戦勝記念日に合わせたプーチン大統領の訪中が調整されている。