摩擦恐れぬ交渉家=グラス新駐日米大使 2025年04月09日 14時15分

【ワシントン時事】金融業や不動産業で成功した実業家。トランプ政権1期目で駐ポルトガル大使を任され、外交経験を積んだ。摩擦もいとわず交渉する姿勢と中国への厳しい態度で知られ、日本にも中国の覇権拡大阻止に同調するよう圧力を強めるとみられる。
ポルトガル大使時代、高速大容量の通信規格「5G」ネットワーク開発で中国企業と協議していたポルトガルに対し、安全保障上の理由から中止を要求。この際、「同盟国(米国)か経済パートナー(中国)かを選ばなければならない」と迫り、ポルトガル側の強い反発を買った。
駐日大使人事の指名公聴会では、「中国への対抗」にたびたび言及した。重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化や、人工知能(AI)・半導体など先端技術の協力について「日本に約束を守らせる」と強調。中国とのデカップリング(分断)を求めてくる可能性もある。
大豆市場の非関税障壁を巡って欧州連合(EU)当局と粘り強く協議した経験も紹介。「ほとんどの場合、決断が必要なだけだ」と指摘し、タフネゴシエーターの顔を見せた。
日本とは浅からぬ縁がある。長男ゴードンさん夫妻が日本で13年間生活し、6歳半の孫娘は当時のハガティ大使の前で米国市民の宣誓を行った。公聴会では「孫と近くで暮らせるのは幸せだ」と相好を崩した。