韓国野党「尹氏の内乱」争点化=与党は李氏審判訴え―6月3日に大統領選 2025年04月08日 18時20分

韓国の尹錫悦前大統領(左)と革新系最大野党「共に民主党」の李在明代表=2024年6月、ソウル(EPA時事)
韓国の尹錫悦前大統領(左)と革新系最大野党「共に民主党」の李在明代表=2024年6月、ソウル(EPA時事)

 【ソウル時事】韓国政府は8日の閣議で、尹錫悦前大統領の罷免に伴う大統領選の投開票を6月3日に実施すると決定した。世論調査では革新系最大野党「共に民主党」の李在明代表がリード。政権交代を目指す同党は、尹氏の「非常戒厳」宣言に争点を絞りたい意向で、「内乱の収束」を前面に掲げる。保守系与党「国民の力」は、5件の刑事裁判を抱える李氏への「審判」や憲法改正を訴えて巻き返しを図る。
 候補者登録を5月10、11両日に行い、同12日から公式の選挙運動という短期決戦。与野党は今月中にも党内の予備選挙を行い、候補を選出する。
 与野党共に中道層への支持拡大が勝敗のカギ。共に民主党の朴賛大院内代表は8日、「大統領選は、内乱を終わらせ民主主義を守ろうとする勢力と、内乱を擁護し民主主義を破壊しようとする集団の対決だ」と強調した。同党は尹氏を支えた与党を「内乱擁護政党」と位置付け、尹氏に批判的な世論に訴える戦略だ。
 一方、与党は「反李在明」を主張の中心に据え、李氏の多くの疑惑や強引な政治手法などに反感を持つ有権者の取り込みを目指す。権性東院内代表は8日、野党による政府高官らの弾劾訴追連発を挙げ、「李氏が党を一人独裁体制に、国会を一党独裁体制に変質させた」と攻撃した。
 与党は、大統領の権限縮小を目的とした改憲も積極的に打ち出す構えだ。争点の分散を懸念する李氏は改憲論に消極的。権氏は「改憲を拒否する理由は明らかだ。大統領になり両手に国会と政府を握り、総統のように絶対権力を振り回そうとしている」と国民に警戒を呼び掛けた。
 李氏は2022年の大統領選で任期短縮の改憲を公約した経緯があり、李氏の主張の「軽さ」をあぶり出して揺さぶる狙いもある。 

海外経済ニュース