関税巡り側近「さや当て」=マスク氏、自由貿易志向―米政権 2025年04月08日 09時16分

【ワシントン時事】トランプ米大統領の高関税政策を巡り、トランプ氏に近い実業家イーロン・マスク氏と、強硬な関税引き上げ論者のナバロ大統領上級顧問が、さや当てを繰り広げている。米電気自動車(EV)大手テスラの最高経営責任者(CEO)であるマスク氏が自由貿易志向を隠さない一方、ナバロ氏はテスラを「自動車組立業者」と発言。マスク氏と、他の政権高官の溝も垣間見える一幕と言えそうだ。
米メディアによると、マスク氏は5日、イタリアで行われた政治集会にビデオ参加し、「欧州と米国の双方が理想的にはゼロ関税状況に移行し、事実上の自由貿易圏をつくるべきだ」と主張した。トランプ氏は欧州連合(EU)に対し、20%の相互関税を課す方針を表明している。
一方、ナバロ氏は7日のテレビインタビューで、「マスク氏は自動車製造業者ではなく、組立業者だ」と指摘。テスラ車の「電池は日本や中国製、電子機器は台湾製だ」と述べ、重要部品を米国内で生産することが必要だと訴えた。
「政府効率化省(DOGE)」を率いるマスク氏を巡っては、DOGEによる政府職員の大量解雇に対し、政権内で摩擦が生じているという。トランプ氏は、マスク氏について「数カ月内の」政権離脱を示唆している。