尹氏罷免・識者談話 2025年04月04日 15時14分

木宮正史 前東京大学大学院教授(本人提供)
木宮正史 前東京大学大学院教授(本人提供)

 ◇弾劾、憲法裁巡る改憲論活発化か
 木宮正史・前東大大学院総合文化研究科教授(朝鮮半島地域研究)の話 罷免は当然だ。棄却なら、「野党が横暴ならば、大統領は戒厳で抑え付けていい」という前例になっていた。保守層には受け入れ難い人もいると思うが、与党「国民の力」の中でも、尹錫悦前大統領と心中するわけにはいかないという声がだんだん大きくなるだろう。
 近く行われる大統領選で最大野党「共に民主党」から李在明代表が出馬することはほぼ決まりだ。与党は中道層の支持を得られるように軌道修正し、李氏に勝てる候補を擁立できるかが問われる。保守層には李氏が大統領になることだけは認められないと言う人が多い。李氏が当選した場合、(保守層の)反発が続く可能性がある。
 今回の大統領弾劾では、党派対立から憲法裁判所裁判官1人が任命されないことを含め、弾劾制度と憲法裁の在り方に対する国民の疑念が広がった。(これらを定めた)憲法の改正論議が活発化するのではないか。大統領選で各候補は立場の表明を求められる。国会で多数を占める共に民主党の李氏も何もしないわけにはいかないだろう。
 ◇与党の結束維持が焦点
 木村幹・神戸大大学院教授(朝鮮半島地域研究)の話 尹錫悦大統領による「非常戒厳」宣言は明らかに違憲・違法であり、妥当な結果だ。今後は保守系与党「国民の力」が結束を維持できるかが重要なポイントになる。与党の内部対立が激化すれば大統領選で後れを取ることが予想され、革新系最大野党「共に民主党」に追い風となる可能性がある。
 弾劾審判の結審から宣告までにかかった日数は、盧武鉉元大統領や朴槿恵元大統領の弾劾時に比べ長期化した。理由の一つは論点が多かったこと、もう一つは罷免の賛否を巡り世論が大きく割れていたことだ。憲法裁判所の裁判官が自分の党派性も意識しなければならない状況で、慎重に評議を重ねたとみられる。
 罷免理由を聞き、中間層でもどちらかといえば保守寄りの人が与党から離れる現象が起こり得る。ただ共に民主党支持に転じることも考えにくく、大統領選では、こうした層がどの候補を支持するのかもポイントとなる。一方、両党の指導部は両極化しており、中間層の取り込みは容易ではないだろう。 

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木村幹 神戸大大学院教授(本人提供)
木村幹 神戸大大学院教授(本人提供)

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