韓国、「センシティブ国」対応に苦慮=米側と協議へ 2025年03月18日 19時55分

【ソウル時事】米エネルギー省が、核不拡散や安全保障上の注意が必要な「センシティブ国」に同盟国の韓国を指定し、韓国政府が対応に苦慮している。韓国で核武装論が高まっていることが原因だとの臆測が広がると、同国外務省は「外交政策の問題ではない」と釈明。安徳根産業通商資源相が週内に訪米し米側と協議する方針だが、事態打開につながるかどうかは不透明だ。
「科学技術やエネルギー協力に否定的影響が及ばないようにしてほしい」。大統領代行を務める崔相穆経済副首相兼企画財政相は17日、関係部署に指示した。4月15日にリストが発効する前に安氏を派遣し、米側に撤回を求める方針とみられる。
米エネルギー省は指定理由を明らかにしていないが、韓国では「核武装論が原因」との見方が有力だ。革新系最大野党「共に民主党」の李在明代表は17日、尹錫悦大統領が核保有に言及したことなどを念頭に「『核武装しなければ』という虚勢が指定につながった」と述べ、政府のこれまでの対応を批判した。
一方、米国のジョセフ・ユン駐韓臨時代理大使は18日、ソウルで開かれた会合で、センシティブ国指定について「情報の取り扱いで不注意があったためだ」と説明。ユン氏は、エネルギー省傘下の研究所を訪れた韓国の公務員や研究者らが情報を持ち出した疑いがあることを示唆した。同省傘下の研究所には昨年2000人以上の韓国人が訪れたという。
「非常戒厳」を宣言した尹氏が弾劾訴追され、内政の混乱が続く韓国にとって、今回の指定は衝撃が大きい。指定は1月に行われていたが、韓国政府の動きは鈍く対応は後手に回っている。主要紙・中央日報は社説で「リーダー不在の時期に(事実関係の)把握に失敗した(外務省などの)怠慢を指摘せざるを得ない」と指弾した。