独総選挙・識者談話(2)・完 2025年02月24日 20時25分

 ◇困難な連立交渉
 ウーベ・ユン トリアー大教授(政治学)の話 第1党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と第3党の社会民主党(SPD)は経済や外交、移民など政策的な隔たりが大きく、連立交渉は困難になる。激しい選挙戦のために、メルツCDU党首は社民党から信頼できる人物だと見なされておらず、さらに交渉は難しい。
 最も困難な点はドイツ経済の競争力をどう回復させるかだ。CDUは大幅な減税を通じた企業投資の活性化を目指しているが、社民党は国家主導で需要を生み出す方針。共通点を見つけるのは容易ではない。難民・移民対策も相違が大きい。メルツ氏の国境管理や入国拒否に対する考えも社民党と隔たりがあり、高度な妥協が求められる。
 ドイツでも二極化の傾向がある。極右のドイツのための選択肢(AfD)と左派党が勢力を伸ばし、中道派が勢力を失いつつある。政党間の競争において敵対(の要素)が強まっている表れで、新しい政府にとっても大きな課題となる。
 極右勢力は(ナチスの台頭を招いた)ドイツの歴史があるため、他政党の協力を得られない。この結果、部分的な政権交代にならざるを得ない。社民党は1998年以来ほぼ政権に入っているが、今回大きく議席を減らしたため、政権にとどまることに支持を得られないだろう。 

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