独総選挙・識者談話(1) 2025年02月24日 20時21分

河崎健 上智大大学院教授(ドイツ政治)(本人提供)
河崎健 上智大大学院教授(ドイツ政治)(本人提供)

 ◇最大の勝者はAfD
 河崎健・上智大大学院教授(ドイツ政治)の話 与党の社会民主党(SPD)が大敗し、保守野党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が、現政権への不満を吸収する形で票を伸ばした。ただ、CDU・CSUにとっては事前の世論調査を下回る得票率であり満足がいく勝利とは言えないだろう。
 最大の勝者は第2党に躍進した「ドイツのための選択肢(AfD)」だ。他党への不満からではなく、同党の移民や難民に厳しい姿勢を肯定的に評価し、支持する層も増えたとされる。結党から12年を経て、単なる抵抗政党の地位から脱しつつある。
 争点となった移民政策を巡り、第1党となったCDU・CSUの支持者には、受け入れ厳格化を求める右派と、人手不足から受け入れ検討は必要だとする左派・中道がいる。次期首相と目されるCDUのメルツ党首は、連立を組む他党との連携に加え、党内の右派と左派の間で均衡を取るという難しいかじ取りを迫られる。
 極端な主張をする政党が増えた現在のドイツでは、中道の穏健政党による連立が今後も続くだろう。既成政党が連立を繰り返すと各党の違いが分かりにくくなる。蚊帳の外に置かれた左右の極端な政党、特に全党から連立を拒絶されているAfDの支持がさらに伸びる可能性もある。 

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