ウクライナ停戦後の米軍関与訴え=トランプ氏と会談へ―英仏首脳 2025年02月23日 05時47分

【パリ時事】スターマー英首相とフランスのマクロン大統領が今週訪米し、ロシアとウクライナの戦闘終結に向けてトランプ大統領とそれぞれ会談する。焦点は、停戦成立後のウクライナに部隊を派遣し、同国の安全を保証する案。英仏首脳は前提として米軍の関与を訴えており、ウクライナ支援の継続に消極的なトランプ氏がすんなり受け入れるかは不透明だ。
欧州主要国首脳は17日の緊急会合で、停戦交渉への対応を協議。英仏は派兵積極論を展開したが、ドイツやイタリアが「議論は時期尚早だ」とブレーキをかけ、足並みの乱れが露呈した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、停戦後にロシアの再侵攻を防ぐには20万人の兵力が必要だと訴えている。これに対し、英紙デーリー・テレグラフが伝えた英仏構想では、欧州主導の停戦監視部隊の規模は3万人弱。スターマー氏は抑止力を高めるため、米軍の戦闘機やミサイルを東欧に配備し、有事に即時の対応が可能な態勢を敷くようトランプ氏に求める考えという。
ただ、ヘグセス米国防長官は今月、今後は欧州がウクライナ支援の「圧倒的割合」を負担すべきだと突き放した。ロシアは英仏など北大西洋条約機構(NATO)加盟国の派兵は「受け入れられない」(ラブロフ外相)と一蹴。プーチン大統領との合意を急ぐトランプ氏は、ウクライナを含む欧州の安全保障を軽視する可能性が指摘される。
ロシアの脅威、米国の変節という外圧に加え、欧州は足元のリスクに直面している。「支援疲れ」を背景に各地で躍進する極右・右派ポピュリズム勢力は「親プーチン」「親トランプ」姿勢で知られ、ウクライナ駐留に反対だ。23日投開票の独総選挙では、主要な伝統政党が選挙戦でこの問題の争点化を避けた。
一貫してウクライナに寄り添ってきたイタリアのメローニ首相も、連立政権内の親ロシア派への配慮から派兵に慎重。シンクタンク「国際問題研究所」のレオ・ゴレッティ氏は「明確な国連の権限に基づく、欧州以外を含む多国籍の任務でなければ、ウクライナへの部隊派遣はイタリアで物議を醸し、抵抗に遭うだろう」と語った。