北朝鮮元軍人、ロシアは「機会の地」=派遣された兵士に理解―ウクライナ 2025年02月22日 14時33分

取材に応じる北朝鮮の元軍人リュ・ソンヒョンさん=14日、ソウル
取材に応じる北朝鮮の元軍人リュ・ソンヒョンさん=14日、ソウル

 【ソウル時事】北朝鮮はウクライナ侵攻を続けるロシアに1万人以上の兵士を派遣したとされる。北朝鮮の元軍人で、現在は韓国に暮らすリュ・ソンヒョンさん(29)はインタビューに応じ、北朝鮮兵士にとってロシアは「機会の地」だと説明。北朝鮮で派兵されることがあったとすれば「自分も行っていたと思う」と心境を吐露した。
 北朝鮮東部・江原道出身のリュさんは高校卒業後すぐに入隊し、空軍で服務した。北朝鮮社会への疑問や不満が累積し、2019年に南北軍事境界線を越えて韓国に渡った。現在は韓国の大学に通う。
 北朝鮮兵はウクライナ軍との戦闘で多くが死傷したと伝えられる。「淡々とした気持ち」でこうした報道を受け止めたとリュさん。命令があれば従うしかなく、「死に向かっていると考えるのが難しい」兵士らの心理状態が分かるためだ。
 海外に行ける機会は北朝鮮では貴重なため、「(ロシアに)行きたいと思う兵士は多い」とみる。兵士にとっては実戦経験を積むことになり、「軍人なら銃を撃って戦場で戦ってみるのもいい」と考えるのも理解できる。
 韓国の情報機関・国家情報院は、北朝鮮兵が捕虜になる前に自決することを強要されていると指摘し、リュさんも「(北朝鮮軍には捕虜になるなという)決まりがある」と話す。「この社会(韓国)では人間の命を第一に考えるが、北朝鮮では国の運命と自分の命が同等。だから命をささげて金正恩(朝鮮労働党総書記)を守るのだ」。遠いロシアで戦う兵士にかつての自身を重ね合わせた。 

海外経済ニュース