欧州、トランプ外交に不安=頭越しの対ロ戦略転換―ウクライナ侵攻 2025年02月14日 14時28分

ドイツのショルツ首相=13日、ベルリン(AFP時事)
ドイツのショルツ首相=13日、ベルリン(AFP時事)

 【ミュンヘン時事】第2次トランプ米政権が外交を活発化させる中、欧州の同盟国は不安を募らせている。トランプ大統領はウクライナに侵攻するロシアのプーチン大統領と電話会談し、欧州の頭越しで停戦交渉の開始を決定。米国が同盟国と進めてきたロシアを孤立させる戦略を突然、転換した。14日開幕の「ミュンヘン安全保障会議」でも、トランプ政権高官の言動が注目を集めそうだ。
 「米政府の行動と発表が、ウクライナ、欧州、そして世界にとって何を意味するのか、現実を直視しなければならない」。ドイツのショルツ首相は13日、トランプ氏の言動に警戒感をあらわにした。ポーランドのトゥスク首相もX(旧ツイッター)で「公正な平和に向け、ウクライナ、欧州、米国は一緒に取り組むべきだ」とくぎを刺した。
 欧州各国が懸念するのは、トランプ氏が欧州の同盟国をほとんど顧みず、プーチン氏との「ディール(取引)」に突き進むことだ。訪欧中のヘグセス米国防長官の発言は、こうした不安を一層かき立てた。
 ヘグセス氏は、2014年からロシアの勢力下にあるウクライナ南部クリミア半島や東部ドンバス地方の一部を含め、領土を奪還しようとするウクライナの目標を「幻想」と切り捨て、同国の将来的な北大西洋条約機構(NATO)加盟も「現実的ではない」と否定した。欧州の安保環境を変えたロシアの侵攻開始から3年を迎える中、欧州と米国の足並みの乱れが鮮明になっている。
 対立の火種は他にもくすぶる。トランプ氏は欧州連合(EU)に対する追加関税を示唆しているほか、デンマーク領グリーンランドの領有に向けて軍事的圧力も辞さない姿勢を示した。また、欧州のNATO加盟国に対し、米国すら達成していない国防支出の国内総生産(GDP)比5%への引き上げを要求している。 

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