人質解放なければ「停戦終了」=トランプ氏と歩調合わせハマスに圧力―イスラエル首相 2025年02月12日 14時15分

イスラエルのネタニヤフ首相=7日、ワシントン(AFP時事)
イスラエルのネタニヤフ首相=7日、ワシントン(AFP時事)

 【カイロ、ワシントン時事】イスラエルのネタニヤフ首相は11日のビデオ声明で、パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとの停戦合意を巡り、「ハマスが拘束中の人質を15日正午(日本時間同日午後7時)までに解放しなければ、停戦を終了し、イスラエル軍はハマスが決定的に敗北するまで激しい攻撃を再開する」と表明した。
 停戦合意に基づくハマスの人質解放とイスラエルのパレスチナ囚人釈放は、これまで5回実現。次回は15日に予定されていたが、ハマスは10日になって、イスラエル側によるガザ住民への攻撃など合意違反を主張し、人質解放を延期すると発表した。
 トランプ米大統領はこれに対し、ハマスが15日正午までに人質全員を解放しなければ「地獄が訪れる」と警告していた。ネタニヤフ氏は声明で、人質全員の解放を求めるかを明確にしなかったが、トランプ氏と歩調を合わせる形でハマスに圧力をかけた形だ。
 ハマスは11日、「停戦合意で定めた義務を果たさず、(人質解放の)延期や事態の複雑化に責任があるのはイスラエルだ」と改めて反発。AFP通信によると、停戦に反対するイスラエルの極右政党党首スモトリッチ財務相は「ゲームは終わりだ」と述べ、ガザを占領すべきだと主張した。
 国連のグテレス事務総長は11日、声明を発表し「大きな悲劇をもたらすガザでの敵対行為の再開は、絶対に避けるべきだ」と停戦合意の順守を主張。ハマスに予定通り人質を解放するよう要求した。
 一方、トランプ氏は11日、ヨルダンのアブドラ国王とホワイトハウスで会談。ガザの住民をヨルダンを含む近隣諸国に移住させ、米国がガザを所有する構想に再び意欲を示したが、国王はこれに反対した。国王は会談後、SNSで「移住させることなくガザを再建し、悲惨な人道状況に対処することが最優先だ」と強調した。 

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