パレスチナ、中東諸国が反発=トランプ米大統領のガザ構想 2025年02月05日 20時39分
【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザの住民を近隣諸国へ移住させ、ガザを米国が長期的に「所有」するというトランプ米大統領の構想に対し、ガザを民族の歴史的郷土の一部と見なすパレスチナは猛反発している。パレスチナとの連帯を訴えるアラブ・中東諸国も反対を表明した。
パレスチナ解放機構(PLO)のフセイン・シェイフ事務局長は5日の声明で「われわれはここ(パレスチナ)で生まれ、生活し、これからも残る」と強調する。パレスチナ国家樹立によるイスラエルとの「2国家解決」こそが「安全と安定、平和を保証するとの確固たる立場をパレスチナ指導部は確認する」と述べた。
ガザでイスラエルと交戦を繰り広げたイスラム組織ハマスの幹部は「ばかげている」と一蹴。トランプ氏の構想は「(ガザ住民の)土地からの追放」であり、「地域の混乱や緊張をもたらす」と厳しく非難した。
サウジアラビアはトランプ氏の提案を拒否。イスラエルが模索するサウジとの国交正常化も、パレスチナ国家の樹立なしにはあり得ないと断じた。トルコのフィダン外相は、移住は「議論の対象とすること自体間違っている」と述べた。
AFP通信によると、パレスチナ自治政府のアッバス議長は5日、ヨルダンを訪問。アブドラ国王と会談し、トランプ氏の提案への対応を話し合うとみられる。エジプトのアブデルアティ外相は5日、カイロでパレスチナのムスタファ首相と会談し、両者は「パレスチナ人がガザを離れることなく、復興計画を前進させることの重要性」で合意した。
国連によると、ガザでは1年3カ月に及んだイスラエルによる軍事作戦で、人口の9割に当たる約190万人が家を追われた。1月の停戦合意を受けて、大きな被害が出た北部への住民帰還も始まったが、生活再建への道のりは長い。
それでも、住民の郷土への愛着は強い。ガザ南部ラファに暮らすアザムさん(34)は、AFPに「トランプはガザをごみの山と考えているが、全くそんなことはない。移住受け入れを迫るとは、エジプトやヨルダンを自分の農場のように考えているのではないか」と憤った。