シリア、中東諸国へ外交攻勢=暫定大統領、サウジへ初外遊 2025年02月03日 14時25分

シリアのシャラア暫定大統領=2日、リヤド(シリア暫定政権提供)(AFP時事)
シリアのシャラア暫定大統領=2日、リヤド(シリア暫定政権提供)(AFP時事)

 【イスタンブール時事】シリア暫定政府が、中東の湾岸アラブ諸国や近隣国との外交を強化している。シャラア暫定大統領は2日、初の外遊でサウジアラビアを訪問。中東での立場を固めるとともに、アサド旧政権の独裁政治と内戦で荒廃したシリアの復興に弾みをつけたい考えとみられる。
 シャラア氏は、サウジの事実上の最高権力者ムハンマド皇太子と会談。シリア国営通信によれば、「地域の平和と安定を守る真のパートナーシップ」や「政治・外交面での協力継続」について協議した。サウジからの財政支援や、国際社会による制裁の解除に向けた協力なども要請した可能性が高い。
 シリアでは昨年12月に暫定政府が発足。旧政権打倒を導いた旧反体制派指導者のシャラア氏が1月下旬、暫定大統領に就いた。同氏は初の外遊先に生まれ故郷でもあるサウジを選び、今月4日には関係が深いトルコを訪問する予定だ。
 シャラア氏は就任後の演説で「シリアの地域・世界での立場を回復する」と表明。再建には資金力が豊富な湾岸諸国の関与が欠かせない。1月30日には旧政権崩壊後初めての国家元首として、カタールのタミム首長の訪問を受け入れ、インフラ再建や人道支援での協力を取り付けた。
 一方、アサド前大統領の後ろ盾だったロシアやイランとは距離を置き、影響力排除を模索している。ロイター通信によると、シャラア氏は1月下旬のロシア外交団との会談で、ロシアに亡命したアサド氏の身柄引き渡しとともに「補償や復興などの具体的措置」を要求。旧政権の「負の遺産」の清算に腐心している。 

海外経済ニュース