関税、「しっぺ返し」の恐れ=米国民、物価高に不満根強く―トランプ米政権 2025年02月02日 15時31分

 【ワシントン、ニューヨーク時事】トランプ米政権によるメキシコ、カナダ、中国という主要貿易相手国への関税発動は物価を押し上げ、インフレを再燃させる恐れがある。米国民の間で物価高への不満は根強く、向こう見ずな関税は「しっぺ返し」となりかねない。
 1月31日に発表された昨年12月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.6%上昇。伸びは3カ月連続で拡大した。インフレ率は2022年半ばのピークから低下してきたが、このところは足踏み状態が続く。
 物価高はなお、米国民にとって大きな懸念要因だ。調査会社ユーガブが1月末に行った世論調査では、「最重要問題」として「インフレと物価」を挙げた割合は23%と、最も高かった。一方、トランプ大統領が高関税の理由の一つとした「移民」は11%だった。主要貿易国に対する関税引き上げは、物価上昇を招きかねない。
 トランプ氏はまた、原油などエネルギー製品にも関税を課すと表明した。日系証券筋は「原油が上がれば自動車燃料、光熱費など、あらゆる物価を押し上げる」と懸念を示す。
 シカゴ連邦準備銀行のグールズビー総裁は米テレビに対し、「一度限りの関税引き上げで、報復がなく、(高関税が)続かなければ、インフレ率の上昇は一時的だ」と語った。しかし、カナダとメキシコは対抗措置の実施を発表しており、影響は尾を引きそうだ。 

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