ジャンマリ・ルペン氏死去、96歳=仏極右初代党首、「移民排斥」先駆者 2025年01月07日 21時22分
【パリ時事】フランスの極右政党・国民戦線(FN)初代党首ジャンマリ・ルペン氏が7日死去した。96歳だった。AFP通信が報じた。移民排斥を唱えて大衆の支持を獲得し、欧州各地で台頭している右派ポピュリスト勢力の先駆者となった。半面、暴力や人種差別など古い極右の影も引きずった。
1928年、仏北西部ラトリニテシュルメール生まれ。第1次インドシナ戦争出征を経て、56年に27歳で下院議員に初当選。アルジェリア戦争にも従軍し、そこで拷問に関わった疑惑がある。
72年、極右団体「新秩序」が結成したFNの初代党首に就任。オイルショックを背景に失業者が増加し、治安も悪化すると、「移民のせいだ」と訴えて社会不満を吸収した。FNは80年代、欧州連合(EU)欧州議会選や下院選で躍進した。
暴言が絶えず、たびたび裁判で罰金を科された。第2次大戦中にナチス・ドイツが行ったユダヤ人虐殺や、米軍による広島への原爆投下を「ささいなこと」と主張し、批判が殺到した。
2002年の大統領選では第1回投票で社会党のジョスパン首相(当時)を抑え、決選投票に進出。世界に衝撃が走ったが、シラク大統領(同)との一騎打ちで完敗した。
10年の訪日時に靖国神社を参拝。11年に党首を退き、三女のマリーヌ氏(56)が後任に就いた。FNは18年、「国民連合(RN)」に改称。EU離脱や単一通貨ユーロ廃止といった極端な主張を後退させて穏健化を図り、党勢を拡大した。
長年議席を守った欧州議会を19年に去り、表舞台から遠ざかった。晩年は体調を崩していた。