生成AI、産業活用が拡大=エージェント開発本格化―25年 2025年01月05日 16時24分
【シリコンバレー時事】2025年は、多くの産業で生成AI(人工知能)の活用が広がる1年となりそうだ。文章や画像、動画、音声を理解して回答するAIの基盤モデルを生かし、人間の仕事を代行する「AIエージェント」の開発が本格化する。ロボットなどへの応用も引き続き、注目される見込みだ。
24年には基盤モデルが多様な進化を見せた。例えば、音声操作で人間並みの応答速度を誇るモデルだ。米グーグルや「チャットGPT」で知られる米オープンAIがそれぞれ開発しており、従来は数秒かかった回答時間を1秒以下に短縮。人間同士の日常会話のように、割り込んで話し掛けても対応できる。
両社は理数系の問題の処理にたけたモデルも開発。推論を重ねるため回答まで時間はかかるが、既存モデルよりも精度が高くなる。オープンAIのアルトマン最高経営責任者(CEO)は「汎用(はんよう)的で複雑な推論ができるAIだ」と説明した。
性能が向上したAIモデルは「話し相手」の域を越え、仕事の支援・代行を可能にする。米半導体大手エヌビディアの生成AIソフトウエア担当幹部のカリ・ブリスキ氏は「金融、ヘルスケア、エンターテインメントまで幅広い分野に影響を及ぼす」と指摘する。
今後はAI開発企業だけでなく、さまざまな業種の企業が基盤モデルを使ってエージェントを立ち上げる動きが加速する。グーグルやマイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、セールスフォースなどが、顧客企業がAIモデルを活用してエージェントを開発できる基盤を発表した。社内業務だけでなく、顧客窓口の自動化も進みそうだ。
生成AIブームに乗り「時の人」となったエヌビディアのフアンCEOは、エージェントに加え、ロボットへのAI活用が進展すると見通す。事実、アマゾンは物流拠点のロボットに生成AIによる画像認識などを活用。商品の仕分けなどを効率化している。
また、人型ロボットの開発も進んでおり、ソフトバンクグループも出資するノルウェー企業1XテクノロジーズのボルニッチCEOは「生活の伴侶となり、あらゆる労働を解決できるシステムをつくりたい」と意気込む。