米債務上限、1月中旬にも到達=議会に対応求める―財務長官 2024年12月28日 07時47分
【ワシントン時事】イエレン米財務長官は27日、議会幹部に宛てた書簡で、連邦政府の債務が来年1月中旬にも法定限度額に到達するとの見通しを明らかにした。債務上限に達しても、財務省は当面、会計上の特別措置で資金繰りを続けるが、議会が上限引き上げなどの対応を資金が尽きる前に取らなければ、米国のデフォルト(債務不履行)リスクが高まる。
債務上限の効力停止を定めている現行法は来年1月1日が期限。同日の債務残高が新たな上限となるが、イエレン氏によると、2日にメディケア(高齢者向け公的医療保険)に絡んだ証券の償還があり、債務残高が一時的に減るため、上限到達時期は14~23日に先延ばしされる。イエレン氏は声明で「米国の信用を守るため、議会に行動を促す」と強調した。
トランプ次期大統領は1月20日に就任する。同月から議会も共和党が上下両院とも過半数を占めるが、いずれも僅差だ。さらに、下院共和党の保守強硬派は財政赤字や債務の縮小を強く主張し、安易な上限引き上げは受け入れないとみられ、トランプ氏は対応に苦慮しそうだ。同氏が目指す大規模減税に関する議論にも水を差しかねない。
債務上限を巡っては、これまでも議会審議が難航するたびにデフォルトの可能性が取り沙汰されてきた。米国債は最も安全な資産とされ、日本を含めた世界中の投資家が保有しているだけに、米国がデフォルトとなれば国際金融市場の混乱は不可避だ。