車暴走の男に死刑判決=35人死亡、財産分与に不満―中国・珠海 2024年12月27日 21時33分

「臨時休業」と書かれている自動車暴走事件が起きたスポーツ施設=11月13日、中国広東省珠海市
「臨時休業」と書かれている自動車暴走事件が起きたスポーツ施設=11月13日、中国広東省珠海市

 【香港時事】中国南部・広東省珠海市で11月、35人が死亡した自動車暴走事件で、同市の中級人民法院(地裁)は27日、危険な方法で公共の安全に危害をもたらした罪で、車を運転していた樊維秋被告に死刑判決を言い渡した。警察は事件後、62歳の男の犯行と発表していた。発生から約1カ月半という異例の早さの判決で、頻発する凶悪事件への見せしめの意味もあるとみられる。
 判決などによると、樊被告は11月11日夜、市内のスポーツ施設周辺で、運動していた人たちの集団に故意に車で突っ込み、多数の死傷者を出した。同法院は動機について、離婚後の財産分与に対する不満といった理由で怒りを発散しようとしたと認定した。
 判決は「被告の動機は極めて卑劣で、犯行の性質は非常に悪質だ」と指摘。「手段は特に残虐で、社会への危害は甚大だ」と断じた。
 警察当局によれば、樊被告はスポーツ用多目的車(SUV)を運転して施設敷地内に進入。犯行後、逃走しようとしたが、現場で身柄を拘束された。車内で刃物を使い自殺を図っており、首などに重傷を負った。
 珠海市では事件翌日、中国国際航空宇宙博覧会(珠海航空ショー)が開幕するため国内外の注目が集まっていた。習近平国家主席は事件を受け、関係部門に対してリスク管理を強化し、過激な事件の発生を厳重に防ぐよう求めた。
 中国では各地で凶悪事件が相次いでいる。9月には、同省深セン市の日本人学校に登校中の日本人男子児童が男に刃物で刺され死亡した。 

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