22年のコカイン生産、過去最大=アフガンの規制強化でヘロイン激減―国連 2024年06月27日 15時19分
国連薬物犯罪事務所(UNODC、本部ウィーン)は26日に発表した2024年版の「世界麻薬報告」で、22年に全世界で生産されたコカインが過去最大の2757トンに上ったことを明らかにした。前年比で20%増加した。
コカインの原料であるコカの栽培面積は22年に前年から12%拡大し、東京都の約1.6倍に相当する35万5000ヘクタールとなった。UNODCは「コカインの需給拡大に伴い、サプライチェーン(供給網)沿いに位置する南米エクアドルやカリブ海諸国で(麻薬組織に絡む)暴力が激化した」と指摘した。
一方、ヘロインの原料となるケシの主要産地アフガニスタンで規制が強化された結果、世界のヘロイン生産は23年に前年比74%減となった。
UNODCによると、嗜好(しこう)目的での大麻の販売・使用は、24年1月時点でカナダ、ウルグアイと米国の多くの州で合法化されている。これについて報告は「米国とカナダでは大麻使用に関連する入院や、常用者の精神疾患罹患(りかん)率、自殺率が増加している。とりわけ若年層で顕著だ」と警鐘を鳴らした。
22年の麻薬使用者は世界で2億9200万人で、最近10年間に20%増加。最も普及しているのが大麻(2億2800万人)で、ヘロイン(6000万人)、覚醒剤(3000万人)、コカイン(2300万人)、MDMA(2000万人)が続く。合成麻薬では、米国で乱用が社会問題となっている「フェンタニル」より強い作用を持つ「ニタゼン」が富裕国で流行する兆しがあり、中毒死も増えているという。