中国、ロ朝接近にジレンマ=距離感調整に苦心 2024年06月18日 16時42分

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(左)と中国の習近平国家主席=2019年6月、平壌(朝鮮中央通信配信)(EPA時事)
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(左)と中国の習近平国家主席=2019年6月、平壌(朝鮮中央通信配信)(EPA時事)

 【北京時事】ロシアと北朝鮮の接近は、長く北朝鮮の後ろ盾だった中国にとって「内心、面白くない展開」(北京の外交関係者)だ。習近平政権はロ朝それぞれと友好関係にあるものの、中国を加えた3カ国が一体となって陣営を形成していると国際社会から見られたくないのも本音。ロ朝の「蜜月」にジレンマを抱きつつ、北朝鮮との距離の取り方に苦心している。
 「ロシアと他国との伝統的友好関係の発展は歓迎する」。中国外務省の林剣副報道局長は13日の記者会見で、プーチン大統領の訪朝計画について問われ、こう答えた。中朝関係に関しては「意思疎通を維持している」などと述べるにとどめた。
 北朝鮮はコロナ禍後、中国ではなくロシアとの首脳往来を先に実現した。今年は中朝国交樹立75年の「友好年」に当たるが、2019年以来となる習国家主席と金正恩朝鮮労働党総書記との首脳会談は、いまだ日程すら浮上していない。
 米国との長期対立を見据える習政権にとって、朝鮮半島情勢への影響力保持の観点から、北朝鮮との関係維持は基本方針だ。昨年以降、中朝間で活発化した高官訪問でも、両国の「血で固めた友情」をアピールしてきた。
 一方で、中朝間には微妙な「すきま風」も吹く。中国はコロナ禍前、約10万人とされる北朝鮮労働者を受け入れていたが、現在は大規模な労働者入国が確認されていない。中国からの観光ツアーも止まったままだ。
 中国の外交・安保環境は、台湾や南シナ海問題、対ロ政策を巡って厳しさを増している。弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に接近し過ぎれば、米国にさらなる対中制裁の口実を与えかねず、習政権は慎重になっているもようだ。 

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