ロシア対岸でNATO演習=スウェーデン「信頼できる同盟国に」 2024年06月13日 16時26分

12日にスウェーデン・ゴトランド島で行われた、化学兵器による攻撃を想定した北大西洋条約機構(NATO)の訓練
12日にスウェーデン・ゴトランド島で行われた、化学兵器による攻撃を想定した北大西洋条約機構(NATO)の訓練

 【ゴトランド島(スウェーデン)時事】バルト海に浮かぶスウェーデン・ゴトランド島で12日、北大西洋条約機構(NATO)の演習「バルトップス」が報道陣に公開された。スウェーデンが3月にNATO加盟を果たして以降で、同島での大規模なNATO演習は初めて。対岸に位置するロシアの脅威が高まる中、化学兵器による攻撃への対応を確認した。
 「バルト海を支配することが極めて重要だ。ゴトランドはその真ん中にある島で、動かない空母群のようなものだ」。スウェーデン軍統合作戦司令官のエドストローム中将は、ゴトランド島の戦略的重要性を強調。その上で「強力かつ信頼できるNATOの同盟国として、結束し続けること」が訓練の目的だと語った。
 バルトップスは7~20日の日程で、20カ国程度がバルト海などで演習を実施。12日のゴトランド島南東部での訓練には、スウェーデン軍の同島連隊から、平時は一般住民として暮らしながら、有事に備え訓練を受ける市民兵も参加した。
 市民兵と米海兵隊員ら計30人ほどの訓練は、神経に作用する化学兵器で攻撃を受けた事態を想定。防護マスクを装着して安全な場所まで移動し、影響を受けた隊員を治療する手順を実践した。
 普段は大工として働いているという市民兵のマーカス・ラゲルグレンさん(40)は訓練後、「米軍との関係はとてもいい。コミュニケーションを取ることが最も重要だ」と話した。米海兵隊のファビアン・ヘレラ2等軍曹(39)も「言語や国籍にかかわらず、目的があれば共に強くなることができる」と力を込める。
 人口約6万人のゴトランド島は、ロシアの飛び地カリーニングラード州からバルト海を挟み約300キロの距離にある。スウェーデン政府は、ロシアがバルト諸国に侵攻する場合、まずスウェーデン領の一部を制圧して防空兵器を配備しようとする可能性があると警戒。軍備増強を進めている。 

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12日、スウェーデン・ゴトランド島で記者団の取材に応じる同国軍統合作戦司令官のエドストローム中将
12日、スウェーデン・ゴトランド島で記者団の取材に応じる同国軍統合作戦司令官のエドストローム中将

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