原発、食料安保を協議=ウクライナ、議題絞り込み―スイスで「平和サミット」 2024年06月12日 14時36分

 【キーウ時事】ロシアの侵攻が続くウクライナが提唱する和平案を協議する「平和サミット」が15、16両日、スイス中部ビュルゲンシュトックで開かれる。当初は全領土の回復などウクライナがかねて提唱する10項目の討議を模索したが断念。参加国の支持が得やすい核・原発の安全保障、食料安保、捕虜解放の3項目に絞り込んで合意を目指す。
 ウクライナはロシアに対する国際社会の圧力を強め、ウクライナが望む形で停戦協議の道筋をつけたい意向。ただ、ロシア不在の中で具体的な方向性を描けるのか不透明だ。
 平和サミットには、イタリアでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)を終えた岸田文雄首相らが出席。バイデン米大統領は欠席し、ハリス副大統領が参加する見通し。主催するスイス政府は10日、これまでに約90カ国・地域や組織が参加する意向を示したと明らかにした。ただ、ロシアが加わっていないことに反発した中国やブラジル、サウジアラビアは欠席する見込み。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は2022年11月、ロシアの侵攻を受けて和平案「平和の公式」を提唱。ウクライナ東・南部4州と南部クリミアを含む全領土の回復、ロシア軍の全面撤退など10項目で世界各国の合意を取り付け、ロシアに圧力をかける狙いだった。
 しかし、影響力を増す新興・途上国「グローバルサウス」の中にはロシアとの関係を重視する国もあり、10項目すべての支持獲得は難航。ゼレンスキー氏は(1)核・原発の安全保障(2)黒海の自由な航行によりウクライナ産農産物輸出を確保する食料安保(3)ウクライナ軍捕虜やロシアに連れ去られた子供らの解放―の3項目で合意形成を目指すと明らかにした。
 ゼレンスキー氏は会議を「(戦争の)終わりに向けた一歩」と位置付けている。スイスのアムヘルト大統領は10日の記者会見で、「当事国が将来の和平プロセスでどのように協力できるかの行程表を定義したい」と述べ、ウクライナとロシアが参加する枠組みづくりを目指す重要性を強調した。 

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