モディ首相、3期目就任=異例の長期政権、不安定さも―インド 2024年06月09日 23時09分
【ニューデリー時事】インド下院(任期5年)総選挙を制した与党連合トップ、ナレンドラ・モディ首相(73)の3期目の就任式が9日、首都ニューデリーの大統領府で行われた。連続3期目入りは初代首相ネール以来。異例の長期政権となるが、モディ氏率いるインド人民党(BJP)が単独過半数を割り込んだことで政権運営は不安定さもはらむ。
この日はモディ氏に加え、BJPや連立を組む地域政党の議員も閣僚就任を宣誓した。2期目政権で主要閣僚を務めた議員も含まれるが、担当はまだ発表されていない。モディ氏は7日の与党連合の集会で「国を運営するにはコンセンサスが非常に重要だ」と強調。今後の政権運営は連立相手に配慮せざるを得ず、これまでのような強い指導力を発揮できるかは不透明だ。
高成長を続けるインドは2027年にも経済規模で米国、中国に次ぐ世界3位に浮上すると見込まれている。モディ氏は独立100周年となる「47年までの先進国入り」を目指し、引き続き経済発展を重視する方針。
しかし、成長の恩恵を十分受けていない人々の生活への不満が、総選挙で与党の苦戦につながったと指摘されている。デリー大のレッカ・サクセナ教授(政治学)は失業問題や物価高騰対策などを3期目の課題に挙げる一方、「政権運営は以前ほどスムーズではなくなる」とし、連立内の協調を保つ重要性を訴えた。
外交面では新興・途上国「グローバルサウス」の代表格として、米欧日やロシア・中国いずれの陣営にも深入りしない自律的な外交を引き続き追求する見通し。
式典には周辺国の首脳が招かれ、駐留インド軍部隊を撤収させるなど同国離れを進めるモルディブのムイズ大統領も参加。敵対する隣国パキスタンのシャリフ首相は招待されなかった。