ロシア「約束全て破った」=停戦に否定的―リビウ市長 2024年06月04日 15時28分

インタビューに答えるウクライナ西部リビウのサドビー市長=3日、同市
インタビューに答えるウクライナ西部リビウのサドビー市長=3日、同市

 【リビウ(ウクライナ西部)時事】ウクライナ西部リビウのサドビー市長は3日、インタビューに応じ、同国に侵攻したロシアとの停戦の可能性について「ロシアは全ての約束を破った」と否定的考えを示した。その上でロシアが周辺国の侵攻を繰り返してきた歴史を踏まえ、「日本を攻撃しない保証はない」と警鐘を鳴らした。
 ウクライナ軍が反転攻勢に出て4日で1年。戦果に乏しい一方で、ロシア軍が北東部ハリコフ州で地上侵攻を始めるなど、戦況はウクライナにとって厳しさを増している。
 サドビー氏は「ロシアが次の攻撃準備のために停戦を呼び掛けても、ウクライナは受け入れない」と強調。米政府が米国製兵器を使った限定的なロシア領攻撃を容認したことで「状況は変わるだろう」と述べ、反撃の継続を支持した。
 また、ロシアがウクライナの独立や主権、領土保全に関する合意をほごにした過去の経緯に触れ、「ロシアは法ではなく力を尊重する」と強い不信感を表明。ロシアは停戦に合意しても再び侵攻し、次は周辺国を攻撃する可能性もあると指摘し、北方領土問題を抱える日本も当事国になる恐れがあると語った。
 ウクライナのゼレンスキー大統領が提唱した和平案を話し合う今月中旬の「平和サミット」に関しては、世界各地で対立が生じている状況を議論する場として「極めて重要だ」と述べた。「ロシア抜き」の会議に反発し、欠席の意向を示した中国を「(ロシアに)厳しい態度を取っていないのは良くない」と批判した。
 建築家の坂茂氏が設計を手掛けるリビウ市内の病院外科病棟の建設を巡っては、計画が9月にまとまる見込みだと説明。「日本に支援を求めたい」として、日本政府やIT産業振興策で連携する神戸市に費用7000万ユーロ(約120億円)の一部を拠出するよう呼び掛けた。
 
 ◇アンドリー・サドビー氏略歴
 アンドリー・サドビー氏 リビウ工科大卒、ウクライナ国立行政学院大学院で修士号取得。企業経営者を経て06年にリビウ市長に初当選し、20年11月に4選を果たした。リビウ出身、55歳。 

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ウクライナ西部のリビウ市が計画する外科病棟について説明するサドビー市長=3日、同市
ウクライナ西部のリビウ市が計画する外科病棟について説明するサドビー市長=3日、同市

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