発射失敗、新型エンジンに問題=衛星ロケット改修に時間必要―金総書記の計画達成困難か・北朝鮮 2024年05月28日 18時47分

 【ソウル時事】韓国軍関係者は28日、北朝鮮が27日の偵察衛星打ち上げに失敗した原因について、ロケット第1段目の新型エンジンの燃焼系統に問題があったとみられると指摘した。原因究明と改修に「相当な時間がかかるのではないか」としており、金正恩朝鮮労働党総書記が公表した衛星3基の年内打ち上げという計画の実現は困難との見方も浮上している。
 朝鮮中央通信によると、北朝鮮は27日、北西部・東倉里の「西海衛星発射場」から偵察衛星「万里鏡1―1号」を新型ロケットに搭載して打ち上げた。ロケットは第1段目の飛行中に空中で爆発した。
 同通信は、新たに開発した「液体酸素と石油エンジン」に問題があったとする「初期段階の結論」を、国家航空宇宙技術総局の幹部が下したと報道。北朝鮮は昨年8月に打ち上げに失敗した際、次の実施時期を明言したが、今回は言及がなかった。
 韓国政府系シンクタンク、統一研究院の洪※(※王ヘンに民)先任研究委員は、北朝鮮が新型エンジンの燃料を従来の「ヒドラジン」から石油推進剤「ケロシン」に変更した可能性があると分析した。その上で「ロシアが技術支援した他国の衛星打ち上げの多くが石油推進剤方式だ」と語り、北朝鮮もロシアの技術を利用したもようだとの見解を示した。
 洪氏はさらに、エンジンの問題解消に3~6カ月以上かかる場合もあると指摘。北朝鮮の打ち上げ計画に「支障が出ることは避けられない」と述べた。
 聯合ニュースが韓国政府高官の話として伝えたところでは、ロシアは打ち上げ前に多数の技術者を北朝鮮に派遣。北朝鮮は技術者の指導を受けてエンジン燃焼実験を繰り返していたという。
 北朝鮮は今回、ソウルで日中韓首脳会談(サミット)が開かれる直前に打ち上げを予告し、サミット当日の夜に強行した。北朝鮮への対応を巡る日韓と中国の違いを表面化させる狙いがあったとみられる。 

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