「民間人保護」要求高まる=国際社会、一斉に批判―ラファ空爆 2024年05月28日 14時14分

27日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファの避難指定区域で、イスラエル軍による攻撃の被害を確認する人々(ロイター時事)
27日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファの避難指定区域で、イスラエル軍による攻撃の被害を確認する人々(ロイター時事)

 【カイロ時事】イスラエル軍は28日、パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとの戦闘で多数の犠牲を出しているとして国際的批判を浴びる中、ガザ最南部ラファ中心部へと地上作戦を拡大した。26日には軍の空爆により、ラファの民間人の避難場所で火災が発生し、45人が死亡。作戦の停止や民間人保護の徹底をイスラエルに求める声が一段と高まることは避けられない。
 ネタニヤフ首相は27日に議会で演説し、「ラファでは約100万人の退避を済ませていた。民間人への危害を防止する努力にもかかわらず、悲劇的な間違いが起きた」と空爆について釈明。一方で、ハマス壊滅といった目的を達成するまで「戦争をやめない」と戦闘継続の意向を改めて強調していた。
 米ABCテレビは空爆に関し、爆撃で破片が飛び散って約100メートル離れた燃料タンクに引火し、避難民向けのテントに火が移ったとの見方を伝えた。
 ロイター通信によると、米国家安全保障会議(NSC)報道官は空爆を受け、「イスラエルは民間人保護のためのあらゆる予防措置を講じる必要がある」と強調。フランスのマクロン大統領はX(旧ツイッター)で「作戦を停止すべきだ」と訴えた。ドイツのベーアボック外相も「国際人道法はイスラエルの戦争行為にも適用される」と指摘した。
 ガザでの戦闘休止に向けた間接交渉の仲介役カタールは、空爆が交渉に悪影響を与える恐れがあるとの認識を示していた。ハマスは既に態度を硬化させており、イスラエル紙ハーレツによれば、今週にも再開されるとみられていた交渉への参加を見送ると仲介国に伝えた。作戦拡大で、近い将来の交渉再開は不可能との見方が広がりそうだ。 

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