農民デモに「ロシアの影」=ウクライナ産流入に苦慮―ポーランド農相 2024年05月27日 14時56分

ポーランドのチェスワフ・シェキェルスキ農業・農村開発相(ポーランド農業・農村開発省提供)
ポーランドのチェスワフ・シェキェルスキ農業・農村開発相(ポーランド農業・農村開発省提供)

 【ワルシャワ時事】ポーランドのチェスワフ・シェキェルスキ農業・農村開発相は27日までに、時事通信のインタビューに応じた。隣国ウクライナからの安価な農産品の流入などに反発したポーランド農民による過激な抗議デモに関し、「ベラルーシとロシアの勢力が扇動したと考えている」と明言。国内の不安定化を狙ったロシアの工作に警戒感を示した。
 欧州連合(EU)は2022年5月、ロシアが侵攻したウクライナに対する経済支援策として、黒海封鎖で輸出できなくなった農産品を周辺のEU加盟国経由で陸送する「連帯ルート」を整備。輸入関税も一時停止した。これにより、ポーランドに流れ込んだ安価なウクライナ産農産品は計400万トン超に上るという。
 シェキェルスキ氏は、ウクライナの農地はポーランドの約3倍もあり、外資系大企業が効率的な生産を行っていると説明。「EU加盟国は農業規制のコスト負担があり、ウクライナ産との競争に太刀打ちできない」と危機感をにじませた。
 ロシアの穀物増産に伴う国際価格の下落や肥料の値上がりも重なり、大きな打撃を受けたポーランド農家は、22年秋ごろからウクライナとの国境を封鎖し、農産品を運ぶトラックの通行を妨害。今年3月には首都ワルシャワで一部が暴徒化する大規模な抗議デモに発展した。
 シェキェルスキ氏は「農家のデモは当初、暴動騒ぎにならなかった」とした上で、デモ激化の背景にはロシアなど「国外勢力の関与」があると言明。ウクライナとの国境封鎖でもロシアの活動が疑われると主張した。具体的な根拠は示さなかった。
 ポーランド政府は自国の農業を守るため、ウクライナと農産品輸入に関する2国間交渉を続けている。だがシェキェルスキ氏は「ポーランドにとって敏感な農産品の輸入を減らすと主張すると、ウクライナ側はポーランドからの輸入を減らすと反論する」と、交渉の難しさを説明。将来のウクライナのEU加盟に際しては、農業分野で新たな規制を設けることが必要だとも訴えた。
 一方、シェキェルスキ氏は「ポーランドの食品は高品質だ」と自信を示し、日本市場開拓に意欲を見せた。さらに「日本からの投資やハイテク技術に期待している」と強調した。 

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