中国、頼氏演説を警戒=一線越えれば台湾有事 2024年05月18日 14時19分

握手するロシアのプーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席=16日、北京(EPA時事)
握手するロシアのプーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席=16日、北京(EPA時事)

 【北京時事】中国の習近平政権は、台湾の頼清徳次期総統が20日に行う就任演説の内容を警戒している。頼氏が「台湾独立」を示唆するなどした場合、台湾統一を掲げる中国が何らかの武力行使に踏み切る可能性もあり、「言動が一線を越えれば台湾有事を招く」(外交筋)とみられている。
 「ロシアは、いかなる形であれ台湾の独立に反対し、国家統一を実現する中国の取り組みを断固支持する」。習国家主席とロシアのプーチン大統領が16日の会談後に署名した共同声明には、こう明記された。習氏は、頼氏が総統に就く直前のタイミングを狙ってプーチン氏を北京に呼び、軍事的連携を強める米台に中ロ共闘を見せつけた。
 習政権は台湾に「一つの中国」原則の受け入れを迫るが、中国と距離を置く頼氏が応じる可能性は低い。中国政府で台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室の陳斌華報道官は、15日の記者会見で「平和を求め戦争は望まないというのが(台湾)島内の主流の民意だ」とした上で、平和と戦争のどちらを選ぶのか「新指導者がはっきり回答しなければならない問題だ」と頼氏をけん制した。
 台湾統一にこだわる習政権にとって、頼氏が就任演説で台湾独立を訴えるような発言をすれば、放置しておくわけにはいかない。中国の世論が沸騰し、収まらなくなるのは必至だからだ。発言のトーンを踏まえ、どの程度の対抗措置を講じるのか習氏自身が判断するとみられる。
 ただ、頼氏が台湾独立の言動を控えて対話を呼び掛けたとしても、「一つの中国」原則を受け入れない限り、習政権が即座に応じる可能性はほぼ無い。中国が独立派と見なす頼氏への不信感は根強く、頼政権発足後も中台の対立は続きそうだ。 

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